COLUMN

エンターテイメントに関する法務や、インターネットトラブルについて、実務を交えて随時コラムを更新しております。
気になる記事があれば、是非ご覧ください。

インターネット誹謗中傷

2023.09.29

雑談たぬきの投稿者特定

雑談たぬきは、「たぬき掲示板」の中の掲示板のひとつで、最近ではTikTokやふわっち、ツイキャスなどで配信活動をしている配信者のスレッドが多く建てられています。

今回は、雑談たぬきのスレッドで誹謗中傷の被害に遭われた際に、どのような手続により投稿者を特定することができるのか、また、投稿者を特定した後の対応について、解説いたします。

特に、雑談たぬきは配信者の方をターゲットとした誹謗中傷が多く、誹謗中傷被害で配信活動に支障が生じてしまっている方からのご相談が非常に多いです。

CONTENTS

執筆者プロフィール

弁護士法人LEON
弁護士 蓮池 純

発信者情報開示請求や著作権侵害等のインターネット問題に係る事案を多数担当し、
YouTuberやクリエイターの方々からもご依頼をいただいております。

私自身ゲームやアニメなどのエンタメが好きで、
大手エンタメコンテンツ制作会社の法務部へ出向していた経験もありますので、
エンタメ企業を中心とした企業法務にも注力しています。

この記事を3行でまとめると・・・

雑談たぬきの投稿者は、発信者情報開示の裁判手続により特定が可能

雑談たぬきの運営者に対し、発信者情報開示命令の申立てを行う必要がある

運用が特殊な側面があり、特定の成功率を高めるためには経験豊富な弁護士に依頼する方が良い

雑談たぬきの投稿者を特定するための手続

発信者情報開示請求

発信者情報開示制度とは、インターネット上の投稿により、名誉毀損や侮辱といった誹謗中傷がなされた場合、プロバイダに対し、投稿者の発信者の氏名、住所、連絡先などの開示を請求できる制度です。

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称「プロバイダ責任制限法」)第5条に基づいて行うことができます。

雑談たぬき上の投稿(レス)も、発信者情報開示制度の対象となるため、投稿の違法性が認められれば、雑談たぬきの運営者に対し発信者情報の開示を請求することができます。

 

発信者情報開示請求が認められるためには、

①対象の投稿によって権利が侵害されたことが明らかであること(権利侵害の明白性)

②発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があること

の2要件を充足する必要があります。

 

①対象の投稿によって権利が侵害されたことが明らかであること(権利侵害の明白性)とは、インターネット上の投稿により権利が侵害され、違法性が認められることをいいます。

どのような投稿について権利侵害が認められるのかは、

https://legal-leon.jp/column/516/

で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

 

②発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があることとは、発信者情報の開示を受けることが、投稿者に対する損害賠償請求等の法的措置を講じるために必要と認められることをいいます。

 

発信者情報開示請求をする上では、特に①権利侵害の明白性の要件が争点となります。

どのような投稿であっても発信者の特定ができる、というわけではありませんので、注意が必要です。

雑談たぬきの投稿に関する発信者情報開示手続

雑談たぬきの運営者に対する発信者情報開示命令

一般に、インターネット上の投稿記事の投稿者を特定する場合、投稿を行った際の通信の履歴を辿って投稿者を特定します。

インターネット上の通信の履歴は、「IPアドレス」と「タイムスタンプ」という2つの情報として保存されています。

そのため、あるサイトで誹謗中傷の投稿がなされた場合、その投稿が送信された際の「IPアドレス」と「タイムスタンプ」を、サイト運営者から開示してもらいます。

雑談たぬきの投稿者を特定する場合も、誹謗中傷の投稿を行った際の「IPアドレス」と「タイムスタンプ」から、投稿者を特定することになります。

 

雑談たぬき上の投稿を行った際の「IPアドレス」と「タイムスタンプ」の開示請求をするためには、雑談たぬきの運営者を相手方として、発信者情報開示命令という裁判を申し立てます。

雑談たぬきの運営者がどこの誰なのか、世間一般には公開されていません。

弁護士法人LEONでは、雑談たぬきの運営者に対する開示請求を多数行っており、運営者情報も把握しておりますので、安心してご依頼いただけます。

 

そのほか、雑談たぬきに対する発信者情報開示命令の申立てには特殊な対応や準備が必要となる部分が数多くあります。

対応実績に乏しいと、投稿者を特定するまでに余計な時間がかかってしまい、後述するような投稿者失敗のリスクが高まってしまいます。

雑談たぬきの投稿者特定をご検討の場合は、対応実績が豊富な事務所に依頼されることをお勧めします。

通信会社(アクセスプロバイダ)に対する発信者情報開示命令

雑談たぬきから「IPアドレス」と「タイムスタンプ」の開示を受けた後は、通信会社(NTTドコモ、ソフトバンク、J:COMなど。通常、「アクセスプロバイダ」といいます)に対し、投稿者の氏名、住所、連絡先(電話番号、メールアドレス)の開示請求を行います。

「IPアドレス」と「タイムスタンプ」だけでは、どこの誰が投稿者なのかを外部から調べることはできません。

どこの誰が投稿者なのかを特定するためには、「whois検索」というサービスを使って、実際に通信を媒介した通信会社を調べ、その通信会社に対し、どこの誰が投稿者なのかを開示してもらう必要があります。

そのため、まずは、どの通信会社なのかを調査した上で、「裁判が終了するまで投稿者の情報を消さずに保存しておいてください」という、ログの保存要請を行います。

 

通信会社から、ログの保存作業が完了した旨の連絡があり次第、通信会社に対して「発信者情報開示命令」の裁判を提起します。

この裁判で、発信者情報開示請求の2要件が認められれば、投稿者の氏名、住所、連絡先等の開示を受けることができます。

なお、令和4年10月から改正プロバイダ責任制限法が施行されたことにより、新たに創設された「提供命令」という制度を用いることで、投稿者特定までの裁判手続を簡略化することができるようになりました。

現在、雑談たぬきに対する発信者情報開示においては、この「提供命令」という制度を利用することが主流となっています。

 

「提供命令」とは、投稿の違法性などに関する実質的な審理を待たずに、掲示板やSNSの運営者に対し、投稿に用いられた通信会社を調査させ、通信会社名等を開示させることができる制度です。

我々に通信会社名等が開示されるのと同時に、対象の通信会社に対し、投稿の際のIPアドレス等が提供されるため、すぐに通信会社を相手取って発信者情報開示の裁判を提起することが可能になりました。

 

以上が雑談たぬきの投稿に関する発信者情報開示手続の概要です。

全体の投稿者特定の流れをまとめると、次の図のようになります。

投稿者の特定に成功した後の対応

投稿者の特定に成功した後は、投稿者に対し損害賠償請求等の措置を講じます。

名誉毀損、侮辱、プライバシー権侵害等の人格権侵害に該当する誹謗中傷は、慰謝料請求の対象となります。

また、複数の裁判例において、発信者情報開示手続に要した弁護士費用を投稿者に請求することができる、とする判断が下されています。

そのため、上記の慰謝料請求等に加えて、発信者情報開示手続に要した弁護士費用も請求することが一般的です。

また、名誉毀損、侮辱など、刑事罰の対象となり得るケースでは、投稿者を刑事告訴することもあります。

弊所では刑事告訴の対応も多数行っています。

投稿者が特定できるまでどのくらいの時間がかかる?

結論から申し上げると、ご依頼をいただいてから投稿者を特定するまで、3か月から半年程度かかることが一般的です。

ごく稀ではありますが、それぞれの発信者情報開示命令の裁判でプロバイダ側に権利侵害の明白性を強く争われ、審理が長期化するケースなども一部あり、投稿者特定までに半年以上かかってしまうこともあります

このように、裁判手続を経る関係で、どうしても一定程度の期間を要してしまいます。

しかしながら、弊所では、スピード感をもった対応を心がけており、類似案件の経験が豊富な分、手続の流れも熟知しているため、1日でも早い投稿者特定のためにベストを尽くしています。

投稿者の特定に失敗するリスク

ここまで雑談たぬきの投稿者特定の流れについて解説して参りましたが、発信者情報開示という手続は、投稿者の特定を100%成功させられるものではないことに注意が必要です。

特定に失敗してしまうケースとしては、主に以下のような場合があります。

 

・ご依頼いただいた時点で、対象の投稿から長期間経過してしまっている場合

・漫画喫茶や、駅、ホテル、カフェ等の公共Wi-Fiで投稿された場合

・通信会社の内部事情により、対象の通信が特定できず、失敗するケース

 

弊所では、豊富な対応実績を活かして、ご相談いただいた方に「今回の開示請求が失敗するリスクはどの程度あるのか」を、可能な限りわかりやすく説明しています。

できる限りご不安を払拭してご依頼をいただけるよう検討させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

雑談たぬきの投稿者特定でお困りの場合、まずはご相談ください

以上が雑談たぬきの投稿者特定についての解説です。

雑談たぬき運営者に対する裁判手続は、申立ての方法や、送達の方法、権利侵害の主張の組み立て方、スピード感など、非常に専門的な知見が求められます。

そのため、経験豊富な弁護士に相談することが重要だと思います。

当事務所では、雑談たぬき上の誹謗中傷事案について、多数の対応実績があります。

特に、雑談たぬきは配信者の方をターゲットとした誹謗中傷が多く、誹謗中傷被害で配信活動に支障が生じてしまっている方からのご相談が非常に多いです。

雑談たぬき上の誹謗中傷でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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