COLUMN

エンターテイメントに関する法務や、インターネットトラブルについて、実務を交えて随時コラムを更新しております。
気になる記事があれば、是非ご覧ください。

インターネット問題

2026.04.25

リベンジポルノ被害は警察と弁護士、どちらに相談すべき?

元交際相手や配偶者などによって、性的な画像や動画を本人の同意なく公開されるリベンジポルノは、被害者の尊厳を著しく傷つけ、社会的な生活を根底から破壊する重大な人権侵害です。
今回は、リベンジポルノに関する法律や、警察と弁護士それぞれの役割などについて解説します。

CONTENTS

監修者プロフィール

弁護士法人LEON
弁護士 蓮池 純

発信者情報開示請求や著作権侵害等のインターネット問題に係る事案を多数担当し、
YouTuberやクリエイターの方々からもご依頼をいただいております。

私自身ゲームやアニメなどのエンタメが好きで、
大手エンタメコンテンツ制作会社の法務部へ出向していた経験もありますので、
エンタメ企業を中心とした企業法務にも注力しています。

リベンジポルノ加害者が負うべき刑事責任

リベンジポルノ行為をした加害者が負うべき刑事責任は以下の通りです。

リベンジポルノ防止法による処罰

リベンジポルノ防止法は、正式には「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といいます。
この法律は、第三者が撮影対象者を特定できる方法で、私的な性的な画像や動画を不特定多数に提供したり、公然と陳列したりする行為を禁じています。

もっとも重い公表罪(私事性的画像記録提供等罪)の罰則は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められています。
また、将来的に公表させる目的で他人に画像を提供する行為も、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象となります。

重要な点として、この罪は被害者のプライバシーを保護する観点から、被害者本人の告訴が必要親告罪とされています。
国家が勝手に裁判を進めるのではなく、被害者が犯人の処罰を望むという明確な意思表示を行うことが、一連の刑事手続を進めるための前提条件となります。

さらに、対象となる画像は、性交や性交類似行為、性器等の露出、あるいは衣服を着用しない姿態で性的な部位が強調されたものなどが含まれます。
本人が撮影を承諾していたとしても、公開までは承諾していない場合にはこの法律が適用されるため、撮影時の同意の有無に関わらず、流出そのものが違法となります。

性的姿態等撮影罪・性的影像記録提供等罪

2023年に新設された「性的姿態撮影等処罰法」により、リベンジポルノへの規制はさらに強化されました。
この法律は、撮影時に同意がなかった場合はもちろんのこと、たとえ撮影時には同意があったとしても、その後に本人の意思に反して画像を送信・提供する行為を厳しく罰します。
インターネット上のライブ配信による公開や、意識不明など同意を得ることが困難な状態に乗じて取得されたデータの利用も処罰の範囲に含まれます。

新法の特徴は、リベンジポルノ防止法よりも広い態様の被害をカバーしており、デジタル技術を悪用した卑劣な行為に対して、より直接的な処罰を可能にしている点にあります。
罰則は、原則として3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金となっており、画像の内容や提供の態様によってはさらに重い罰則が科される可能性もあります。

また、事案の内容によっては、名誉毀損罪、わいせつ物頒布罪、脅迫罪、強要罪などが併せて成立する可能性もあり、加害者は多重の刑事責任を問われることになります。
特に、画像を盾に交際の継続を迫ったり金銭を要求したりする行為は、強要罪や恐喝罪として重い処罰が下される経緯を辿ります。

リベンジポルノ被害における民事上の責任追及

刑事罰が加害者への制裁を目的とするのに対し、民事上の責任追及は被害者の権利回復と損害の補填を目的としています。
民法上の不法行為責任に基づき、主に以下の2つの手段を講じることができます。

損害賠償請求

リベンジポルノによって被った精神的苦痛を、金銭に換算して賠償させます。
慰謝料の算定においては、画像の性質、拡散の範囲、被害者の社会的地位への影響、および加害者の態様の悪質性が考慮されます。

たとえば、被害が原因で退職を余儀なくされた場合の休業損害や、うつ病の発症に伴う治療費なども賠償の対象に含まれることがあります。
また、被害者が学生であれば将来の就職活動への悪影響、社会人であればキャリアの中断といった、経済的な損失も論理的に主張していく必要があります。

裁判実務における慰謝料の相場は、数十万円から数百万円と幅がありますが、情報の拡散が著しい場合や二次被害が深刻な場合には、高額な賠償が命じられる道筋も整備されています。
金銭的な補填を受けることは、被害者がこれからの人生を再構築するための経済的な基盤を確保するために欠かせない対応となります。

差止請求(情報の削除)

現在行われている権利侵害を停止させ、さらなる被害を防ぐために、画像の削除を求める権利です。
サイト運営者やプロバイダに対し、送信防止措置請求を行うことで、ネット上の情報を物理的に消し去ることを目指します。

民事上の権利行使は、加害者が反省しているかどうかに関わらず、受けた不利益を解消するために行われる一連の作業となります。
具体的には、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)を活用し、不当な投稿を削除するよう通知を出す段階が含まれます。
また、「削除仮処分」という裁判手続を用いて、画像を強制的に削除させる方法もあります。

警察と弁護士、どちらに相談すべきか?

結論として、リベンジポルノ被害に遭った際は、まず弁護士に相談し、そのうえで弁護士と共に警察への対応を検討した方が良いといえます。

警察の役割は、刑事事件化に向けた捜査に特化しています。
しかし、被害者は、犯人の処罰だけでなく、ネット上からの迅速な画像削除、将来の再発防止、そして受けた被害に対する正当な賠償も望んでいるといえます。
これらを一括して対応できるのは、代理権を持つ弁護士だけです。

また、弁護士を介することで、警察とのやり取りもスムーズになり、受理の確率が高まるという実務上のメリットもあります。
実際のケースとして、被害者本人が通報した際は犯罪が成立するか疑わしいということで取り合ってもらえなかったが、弁護士に依頼して犯罪の構成要件該当性を具体的に論じた告訴状を提出したことで、刑事事件として立件された例も多数あります。

警察ができることの捜査の限界

警察へ相談する最大の意義は、捜査によって加害者を特定し、証拠を回収することにあります。

警察ができること

警察は、被害届や告訴を受理した後、刑事事件として捜査を開始します。
具体的には、加害者の自宅への家宅捜索、スマートフォンやパソコンの差し押さえ、通信記録の解析などを行います。
これにより、加害者の手元にある元データやコピーを物理的に没収し、さらなる流出を阻止する強力な抑止力となります。

また、捜査の過程で加害者の身元が完全に特定され、取り調べが行われることで、加害者に対して自身の行動の重大さを自覚させる段階が生まれます。

警察の対応の限界

警察の権限はあくまで刑事罰を科すための捜査に限定されている、という事実を理解しておく必要があります。
警察は、被害者の代わりに個別のサイト運営者と交渉して画像を一件ずつ削除して回る削除業者ではありません。
また、加害者に対して「被害者にいくら支払いなさい」と金銭的な賠償を命じる権限も持っていません。

さらに、刑事手続は証拠の厳格さが求められるため、受理されるまでに時間がかかったり、民事不介入を理由に十分な対応が得られなかったりするケースも存在します。
特に、インターネット上の拡散を止めるための削除要請などは、警察が直接行うことはほとんどなく、あくまで警察は犯人処罰に向けた捜査に専念する傾向があります。

弁護士が提供できる包括的な被害者支援

弁護士は、被害者の正当な代理人として、刑事・民事の両面から、リベンジポルノの被害者の被害回復を行う活動ができます。

刑事事件における被害者救済

弁護士は、警察に提出する告訴状を法的に精緻な内容で作成し、事件がスムーズに受理されるよう働きかけます。
また、警察への相談に同行することで、被害者が精神的な不安から十分に説明できない部分を法的な観点から補足し、的確な捜査を促す役割を果たします。

さらに、加害者側が刑を軽くするために示談を申し出てきた際には、被害者の心情を最優先に守りつつ、二度と接触しないことやデータの完全消去、および高額な賠償金の支払いといった、被害者に有利な条件での合意形成を担います。
示談交渉において、加害者が約束を破った場合の違約金設定や、将来の再流出に対する罰則規定を盛り込むことは、弁護士しかできないことです。

民事のインターネット上の実務対応

情報の拡散を食い止めるための削除請求(送信防止措置請求)は、弁護士のもっとも得意とする分野のひとつです。
法的な根拠に基づいた削除依頼書をサイト運営者に送付することで、迅速な対応を引き出します。
任意の削除に応じない場合には、裁判所に削除仮処分を申し立て、短期間で強制的な削除へと導く道筋を立てます。

また、加害者が匿名である場合には、発信者情報開示請求を行い、法的手段を用いて投稿者の特定を主導します。
この特定作業は、SNS運営会社や通信会社を相手取る複雑な裁判手続が必要となるため、個人で行うには限界がある一連の流れです。
その後、特定された住所氏名を基に、損害賠償請求訴訟を提起し、金銭的な解決を完遂させる段階まで一貫してサポートします。

まとめ

今回は、リベンジポルノの刑事・民事上の法的責任、警察と弁護士、どちらに相談すればいいのかなどについて解説しました。
性的なものは、かなりデリケートな問題であるため、弁護士であっても相談をするか悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、悩んでいるうちに、インターネットで拡散されてしまい、不特定多数の目に触れてしまうことになりセカンドレイプの被害を受けてしまったり、加害者に充分な制裁を加えられなくなったりする可能性があります。

弁護士は、リベンジポルノの被害を受けた方が、不利益にならないよう弁護活動を行います。
お困りの方は、弁護士に相談してください。

カテゴリ一覧

 
 
 

電話
受付時間

10:00〜19:00

※都合により休業となる場合がございます。
※お電話が繋がらない場合は、恐れ入りますが、
メールまたはLINEにてお問い合わせください。

個人情報の取扱いについて

当事務所は、プライバシーポリシーに基づき、
お客様の個人情報を管理いたします。
プライバシーポリシーをご確認の上、次の画面にお進みください。

プライバシーポリシー